• 2025年4月13日
  • 2025年4月15日

視神経乳頭陥凹拡大について

羽曳野市で白内障手術に力を入れています、こにし眼科 院長の小西です。

健康診断で視神経乳頭陥凹拡大と言われたことはありますか?

典型的な緑内障発見のパターンとしては、中年以降に健康診断を受けて視神経乳頭陥凹拡大と高眼圧という指摘を受けて眼科に来院され、精査されたところ視野の一部が欠けていた、という場合が多いと思います。

網膜細胞からは脳へ視覚情報を送るケーブルのようなものが集まり、視神経という束となり脳につながっています。その沢山集まったケーブルが眼球から脳へ向かいますが、眼球内部からの出口にあたる部位が視神経乳頭と呼ばれる場所です。

緑内障を発症して神経細胞数が減少すると、神経細胞から出ているケーブルの数も減少しますので 視神経乳頭を通過する神経繊維の密度が低下して、あたかも視神経乳頭が痩せた様な見た目に変化します。これが検診でよく指摘される視神経乳頭陥凹拡大です。

視神経乳頭陥凹拡大があるからといって100%緑内障があるとは限りません。これはもともと視神経乳頭のサイズが大きいとそこを通過する神経繊維の密度が低下するため 一見神経が痩せているように見えることもあり、健診で異常といわれてしまうことがあります。

また近視眼では眼球の構造上の問題で視神経乳頭付近の変形が起きやすく、緑内障性眼底と区別がつきにくくなる場合があります。

極早期の緑内障では、まだ機能的異常は発生しておらず、形態的な変化が先行することもありますので単に視野障害を発生していない段階かもしれません。このことを最近は前視野緑内障という言い方をされています。早期治療を勧める風潮がトレンドになっているようですが、難しい問題だと思います。

緑内障の唯一の治療法は眼圧を低下させることですので、緑内障を発症した場合にはまず眼圧を下げる薬物治療(主に点眼)をする必要があります。

どのくらいまで眼圧を下げればよいかは個人差があります。眼圧の正常値は10-21mmHgですが、これはあくまで指標ですので、高くても問題ない方もおられれば 低くても視野が進行してしまう方もおられます。長期的に観察して視野進行がない、あるいは極めてゆっくりになるくらいまで眼圧を下げる必要があります。

薬物治療をしても眼圧が下がらない場合は手術治療をせざるを得ない場合もあります。

医療法人 奏十会(かなとかい) こにし眼科 072-950-1524 ホームページ