• 2025年5月10日

mooren潰瘍について

羽曳野市で白内障手術に力を入れています、こにし眼科の院長の小西です。

この1ー2年くらいで久しぶりにmooren潰瘍と思われる患者様が複数名来院されました。この病気は珍しいため、あまりお目にかからないのですが、私が研修医の時に若年発症型の重症例を担当させて頂いた思い出のある疾患です。

mooren潰瘍には大きくわけると若年発症型と高齢発症型があり、若年型は急速進行し、痛みも強く、進行も早いため穿孔と言って角膜に穴が開いてしまうことも多いです。高齢者に多いタイプは進行は緩徐、痛みの症状も穏やかな場合が多いと言われています。

この病気は周辺部角膜潰瘍というジャンルの病気ですが、要は角膜の強膜(=白目)に近い周辺部分に潰瘍ができ始め、それがだんだんと周辺角膜のラインに沿って広がっていくのですが、いわゆるundermining やoverhanging edgeと呼ばれる特異な形になります。これは潰瘍の縁が非常に深いえぐれたような形になるのですが、その様子が蚕が葉っぱを食べた後のような形に見えるため、この病気は別名 蚕食性角膜潰瘍とも呼ばれます。

このように特徴的な所見を呈するので一度見ると忘れられないほどのインパクトのある病気なのですが、実は原因も分かっておらず、いわゆる免疫反応が原因ではないかと推測されており、実際の治療はステロイドや免疫抑制剤の投与で効き目が出ます。確定診断の方法も決まっていないため、その特徴的な見た目での判断や、どちらかというと除外診断としての扱いとなります。

最近ご来院された方も高齢型で、最初は少し違和感があって眼が痛く充血しているという程度の自覚症状だったのですが、周辺角膜の濁りがあった部分から角膜が薄くなってきて、この疾患だと診断がついたため、ステロイド投薬で落ち着いた状態を保っておられます。

充血や違和感も病気の大事なサインである場合が多いですので、気になることがあればいつでも受診されることをお勧めします。

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